2022-12-08

Google Booksと同じような検索ツールは誰でもつくれる

国会図書館のデジタルコレクションの規模の大きさと性能のよさ、そして、12月21日より大規模な全文テキスト検索システムが提供されることなどに目を奪われがちですが、実はこれと同じようなものをつくることを可能にする著作権法改正が、2018年に行われていることを思いだす必要があります。この点について、議論段階は以前にブログでも紹介しましたが、肝心の法改正については触れていなかったので、改めてリンクだけ貼っておきます。



2018年5月の著作権法47条の5関係


 国会図書館のデジタルコレクションの全文テクスト検索が気になって、次の本をみていました。

 一般財団法人人文情報学研究所, 石田友梨他『人文学のためのテキストデータ構築入門: TEIガイドラインに準拠した取り組みにむけて』文学通信, 2022. 

 このなかのコラムで国会図書館の南亮一さんが、「著作権法改正でGoogle Booksのような検索サイトを作れるようになる?」(p.400-408)を書いているのに気づきました。これはたいへん参考になる情報です。 その記述によると、作れるがいくつかの要件を満たす必要があるとのこと。詳しくは当該書を見ていただくことにして、最後にまとめられている要件を引用しておきます。

・蓄積したデータの漏洩防止措置を講じること 
・サービスの適法性を担保するために、著作権法(47条の5)の解説書や解説記事の閲覧や著作権法の専門家への紹介などの取り組みを行うこと 
・検索サイトのトップページなどに連絡先を明記すること 
・表示する著作物は、インターネット上の著作物か、公表されている著作物であること 
・サムネイルやスニペット表示の分量が、検索の目的に沿った検索結果となっているかを検証できる範囲の分量に留まっていること 
・表示されている割合や制度、大きさが軽微であること 
・著作権者の利益を不当に害するような表示をしないこと 
・海賊版であることを知りながら表示をしないこと 

の9点です。これは要するに、著作権があり売られている本であってもデジタル化、テキスト化して検索システムをつくって公開することはOKだが、表示可能なのは限定的部分なのでそのような法に沿った運用をしていることが外から分かるようにしておけばよろしいということです。そうした検索システムを構築することに比べたら各段に小さな問題です。

ということで、こうした検索サービスが可能になっています。これってGoogleや国会図書館がやったことを誰でもできるようになったということですね。まあ、技術力とお金という前提的な問題はありますが。NDLのデジタルコレクションが基幹的なものであるとすれば、それをもっとローカルあるいはミクロなレベルで補うようなサービス構築は誰でも可能になっているので、ぜひ進めていきたいものです。とくに地域資料や郷土資料、主題や分野毎の全文テキスト検索ですね。また、そうしたものの構築を推進するような仕組みをどこかでつくる必要があると思います。

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