6月13日(木)の夜に岩波ホールで「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」を観た。200人は入るホールに50人程度の入りだった。言われている評判より少ない感じだが、それはどうも終了時刻が21時50分に設定されていることに原因があるようだ。上映時間が3時間25分で途中で5分ほどの休憩が入るのでこういう時間になる。同館のサイトによれば、昼はそれなりの入りのようなので、この時間帯だと見合わせる人が多いのだろう。複数の観た人の話しでは、長いので座布団が必携とか、だんだんと疲れてくる、くらくらしてくるというのと、長いけれども飽きないで観られるというのとがあった。
というわけで、最近こんなに長い映画を観たことがないのでどうなることかと戦々恐々ではあったが、結果的には集中して観続けることができた。しかし、最近は名画座系でも座席は快適なところが多いから、前の座席の人の頭が画面の一部を遮る可能性があるこのホールのつくりの古さは少々気になった。
映画について
さて、映画そのものだが、「ドキュメンタリーの巨匠」フレデリック・ワイズマン監督が比較的短時間のあいだに、この図書館(NYPL)で起こっていることを撮影し、断片をつないで編集して見せてくれるものだ。本館、複数の分館、地域館の建物や内装、イベント(とくに何人もの作家が自著について語る様子)、内部でのサービスの有り様、経営面の議論などを紹介している。図書館という地味に思えるものを紹介したドキュメンタリーがなぜ一本の商業映画になるのか、また、それがなぜ数々のドキュメンタリー部門の映画賞を受賞しているのか、さらには、それがなぜ日本でも上映され、多くの人が見にくるのか。このあたりが長年日本の図書館の不遇さに嘆いていた私には不思議に思われたので、どう見えたかについて書いておく。
まず、ワイズマンは別のインタビューに答えて、この図書館の利用者でも何でもないという。人に紹介されて、ここのおもしろさを知り撮ってみようと思ったと発言している。その「おもしろさ」は確かにこの映画全体にあふれていた。だが、監督がおもしろいと思て取り上げ、私も同様の感想をもったものが、映画評論家に高く評価され、日本のメディアでも取り上げられるのかについては考えてみる必要があるだろう。それをあえて説明すれば、ネット社会の到来による情報アクセスの利便性と、その裏側で生じている経済格差、そして、さらにはアメリカが抱えている人種問題が扱われ、それが現代の状況と対局にある論理にまとめ上げられているからである。つまり、ポストトゥルースの状況において、図書館が知の真理性の最後の砦になることを主張しているのである。この観点はアメリカでならニューヨークや西海岸の知識人に支持されるだろう。しかし、日本ではどうなのか。
映画から読み取れる同館の活動内容
図書館は、単に書物のコレクションを提供する場ではないことが繰り返し示されている。まず何よりもマンハッタンの中心部にあるという立地条件と、そのボザール様式という大理石造りのがっちりした建物がある。室内は広く天井は高い。家具調度品は豪華である。過度なきらびやかさは排除されているものの、知と美に対する最高の敬意が示され、それに伴う巨額の資金がつぎ込まれていることは一目瞭然である。古典古代、そしてルネサンスやバロックのヨーロッパの知的伝統をそのまま継承し、アメリカ資本主義によってニューヨークという都市に発展させようという意気込みがここに見られる。
それは19世紀末から20世紀初頭にかけての白人中産階級の文化構築の意思から始まったが、それにとどまってはいなかった。20世紀後半には、差別撤廃の社会的議論を反映させた多文化主義が採用される。何度か出てくる黒人文化研究図書館はNYPLの分館の一つであり、ここがもつアーカイブ的な資料は作家や研究者に黒人差別の実態を伝えるものとして重要な研究拠点になっている。19世紀にあった奴隷制と資本主義、共和主義の関係についてのレクチャーのシーンでは、マルクスがリンカーンに送ったという書簡が取り上げられていて、ここから共産主義者のマルクスが共和主義者のリンカーンを支持したのが、黒人の奴隷からの解放と労働者の解放を重ねて見ていたことが語られる。チャイナタウンに近い分館では、中国系移民に対する中国語でのサービスが行われている。また障害者サービスとしての点字や録音図書作成のシーンがある。手話通訳のボランティアを養成する講座のシーンがあり、「アメリカ独立宣言」の一節を、懇願するように読む場合と怒りを込めて読む場合とで手話通訳の動作が違っていると言って、実際にやってみせるシーンがおもしろかった。
ハイカルチャーの文字資料をあつかっているだけではない。ポピュラーカルチャーへの配慮が示される。写真コレクションは20世紀までのアメリカ人のコマーシャリズムや日常生活をそのまま写し取って蓄積したものである。先ほどの手話通訳のシーンは舞台芸術図書館のものだが、ここはメトロポリタン歌劇場に隣接している。舞台芸術から大衆芸能にいたる、台本・脚本や楽譜、映像資料、録音資料だけでなく、舞台装置のミニチュアセットや衣装デザイン、プログラム、ポスターなどの資料を集めて提供している。単なる印刷出版された資料だけでなくて、個々のパフォーマンスに対応する複製資料を集めている場である。
こうした図書館の活動を支える仕組みであるが、よく知られているようにここは非営利法人組織になっている。ニューヨーク市からの助成金と民間から寄付金が半分ずつという説明がされていた。もともと、アスター、レノックス、ティルデンの3財団の資金を統合して始まり、それにカーネギー財団からの寄付金が加わって、これらを基金としたものである。だが活動資金は自動的に入るようなものではなく、獲得するための説明がきわめて重要になる。
映画で何度も登場するのが、この図書館の経営会議である。運営資金をいかに調達するか、それから、どのような方面に向けてどのようなサービスを拡張していくかについて、侃々諤々の議論が行われている。重点をおいて描かれているのが、ネット弱者への対応である。そのなかでは、20世紀にカーネギーが無料公共図書館を寄付することによって印刷本の普及を図ったように、図書館がPCやネットへのアクセスをネット難民に無料で提供することによって、紙とデジタルとを問わず知へのアクセスを保証するという考え方をとっていることが強調される。しかしながら、図書館が実際に提供するコンテンツとして、紙かデジタルか、また提供するものが要求の多いものか価値あるものにするかというような、以前からある議論は継続して行われていることもわかる。
こうした図書館を支える人たちがどういう人なのかについては、あまり説明はなかった。今の経営会議への出席者は館長、渉外担当役員、主任司書などであり、彼らの間でも方針について差異が見られた。また、それぞれの専門図書館の責任者は司書というよりはキュレーターのような主題分野の専門家のようだ。分館や実際の資料コレクションの担当者になってはじめて図書館資料の利用について直接語る役回りになっている。これらについて知るためには、800円で売られている映画解説のパンフレットが役に立った。
映画が示唆する図書館の在り方
まず、この映画は最初から最後まで、誰かが話す、あるいは語るシーンで成り立っている。静謐な読書環境というステレオタイプの図書館観からすると意外なことに、声が横溢している。電話レファレンスの応対、作家の講演やインタビュー、カウンターでのやりとり、経営会議での議論等々。閲覧室で利用者が資料を繰ったり、読んだりしているシーンがないわけではないが、それはごく一部である。これは図書館がもつ膨大な資料がもたらす作用であると考えることもできる。図書館という場を描く以上、建物の内外の映像以外にメッセージを伝えようとすれば、声を中心にせざるを得ない。図書館は声が発生する場として描かれているのである。資料に含まれるメッセージはそれが読まれなくともそこにあるだけで何らかの作用をもたらし、作家はこの場で話しをすることで自分の言葉が他の資料に含まれる言葉と共鳴して自由な発想が可能になると主張しているかのようだ。
また、図書館の活動が来館者に何らかの資料やサービスを提供することに加えて、「場所の効果」と「資料がもたらす作用」自体に価値があるという考え方がとられている。 図書館がそこにあるだけで社会に対して何ものかを生み出している。本館の神殿のような建物がそういう効果をもつことは言うまでもない。そういう場所で調査研究することで西欧の学術の奥義に触れるような気にさせられることもまた否定できない。公共図書館がPeople's Universityと言われることがあるが、それは大学の知的権威性をそのまま反映させたこのような場所でないと実感はわかない。
「資料がもたらす作用」の典型は先程示した「声」である。映画で作家の声として示されているものは、図書館の資料を読む市民の内面の比喩的な表現である。つまり、利用者は資料を使うことでそこに含まれている「知」の声を聴くのである。さきほど、パフォーミングアーツの大量の一次資料があると書いたが、それらもまた演劇や朗読、ダンス、音楽ショー、バレエといった声と身体表現による言葉の表現である。それらの資料があることで、次の作品が生み出される。日本ではようやくそうした舞台芸術や音楽、映画などの資料をアーカイブとして残すことへの注目が始まっているが、それはデジタル化とセットで議論されている。しかし、ニューヨークではデジタル化以前に一回性のパフォーマンスについての資料を残すことも行われている。さきほど紹介した手話通訳の話しは、同じテクストが朗読者に媒介され、さらに通訳者によって表現されるという話しであるが、資料がもたらす作用とはテクストがこのようなパフォーマンスを通してつくる表現空間において現れるものである。作用が社会的なものに向けられれば、差別の問題や経済格差の問題に向けられることになる。
これを経済学の用語を使うと外部効果ということもできる。図書館が静的なイメージから動的なイメージへと転換するという描写は、経営会議のシーンで表現される。そこで論じられているのはまさしく外部効果といってよい。ニューヨーク市の財務当局と掛け合うため、そして民間の寄付者から資金獲得のためにどのような戦略を練るのか。向けられている視線は徹頭徹尾、直接図書館を利用する人ではなくて、その資金がどのように使われ、どのような効果をもつのかに関心を寄せる人たちである。外部効果をいかにうまく説明できるかで資金獲得の如何が決まるといってよいだろう。これは非営利法人に共通する課題であるが、日本の公的セクターでもガバナンスが問題になるなら、こうした説得力をもつ必要がある。つまり、利用者や担当部門の職員、議員といった直接の関係者だけでなく、「外部」にいかにその存在をアピールし外部効果をもつ機関であることを示せるかにかかっている。
日本では菅谷明子が『未来をつくる図書館』(岩波新書)でニューヨーク公共図書館を紹介したのは2003年であり、この本はそれからずっと読まれ続けてきた。日本人にはこのような図書館はある種の理想ではあるけれども、何となくアメリカ社会だからあるいはニューヨーク市だから可能な桃源郷のできごとという感じで読まれてきたと思う。少なくとも図書館関係者はそう感じてきた。だがこの映画が描き出すテーマは、新公共経営(NPM)が言われ、指定管理者制が導入された日本の図書館経営とも共通するものである。資金と人員が縮小されるときにサービスポリシーと資金獲得のための説明をどのように行うかが課題である。
とはいえ日本でNYPLのように経営権が独立して存在する図書館がどれだけあるのかを考えてみると絶望的になる。もしこれに近い経営判断をしている図書館があるとすれば、いくつかの非営利法人が運営する専門図書館とNPOや個人ベースで運営されているマイクロライブラリーくらいだろうか。あとは、資金の枠が設定されていて、NPMとはその範囲内で効率的な運営をすることと理解されているのではないだろうか。図書館が市民生活のなかにまで入って資料の提供以外のサービスまで積極的に行うことを主張することは難しい。日米の税制の違いや非営利法人の位置付けの違いが大きいのだろうが、今できることは、この映画を見たあとに再度この本を読み、どこからできるのかを考えてみることだろうか。
資料に含まれている「言葉」のもつ作用がきわめて間接的であるが文化の根幹的な部分を規定していることは、図書館という社会機関を考える際に決して無視できないものである。これは美術館や博物館など、同様に外部効果に頼らざるをえない機関とも共通している。日本では、この作用は社会において決して見えるものではなかったが、最近、後藤和子・勝浦正樹編『文化経済学』(有斐閣)が出ているように、美術館や博物館についての学術的議論が始まっている。では、図書館の根幹的な作用とは何であるのか、また外部効果として経済的な価値に置き換えられうるのか。こうしたことを改めて考えさせられた。
おまけ
原題はEx Libris--The New York Public Libraryで、日本のタイトルと逆になっているのはよくあることだ。このEx Librisは蔵書票と訳される。exは「外」を意味し、librisは蔵書のことで、英語にすれば"from the collection"ということである。蔵書家がこれを本に貼り付けたのは、本の貸し借りの慣習があったからである。本が重要な知的財産であると同時に関係者で共有する考え方があったことを示すものだ。タイトルは近代公共図書館思想にこうした共有思想があることを示しているのだろう。
上映館についてはここを参照
岩波ホールは7月5日までで、順次、全国ロードショーとなっている。
大阪ではテアトル梅田で6月21日から上映
2019-06-15
2019-06-09
「日・米・仏のカリキュラム改革史における学校図書館政策」
2019年6月8日(土)に帝京大学で開催の日本図書館情報学会春季研究集会での発表原稿です。
日・米・仏のカリキュラム改革史における学校図書館政策日・米・仏のカリキュラム改革史における学校図書館政策
<抄録>
アメリカでは 1960 年代から 1970 年代にかけてスクールライブラリアン養成の制度 化が行われ、フランスでは 1980 年代末にドキュマンタリスト教員配置の法制度整備 が行われた。これは教育課程上の経験主義および知識構成主義に基づき、それが国の 教育改革と結びついて生じたものである。現在の日本の教育改革も、長期的にみれば学校図書館およびその専門職員の制度化をもたらす可能性をもつことを述べた。
日・米・仏のカリキュラム改革史における学校図書館政策日・米・仏のカリキュラム改革史における学校図書館政策
<抄録>
アメリカでは 1960 年代から 1970 年代にかけてスクールライブラリアン養成の制度 化が行われ、フランスでは 1980 年代末にドキュマンタリスト教員配置の法制度整備 が行われた。これは教育課程上の経験主義および知識構成主義に基づき、それが国の 教育改革と結びついて生じたものである。現在の日本の教育改革も、長期的にみれば学校図書館およびその専門職員の制度化をもたらす可能性をもつことを述べた。
2019-06-03
「今後の学校図書館を導くための学習理論の考察」
昨年の日本図書館情報学会研究大会で発表したものを公表します。
根本彰「今後の学校図書館を導くための学習理論の考察」『2018 年度日本図書館情報学会研究大会発表論文集』琉球大学, 2018 年11 月3 日, p.45-48.
根本彰「今後の学校図書館を導くための学習理論の考察」『2018 年度日本図書館情報学会研究大会発表論文集』琉球大学, 2018 年11 月3 日, p.45-48.
抄録
ジョン・デューイの経験主義哲学に基づく新教育が20世紀末には、認知心理学の影響を受けて構成主義的教育学に展開したこと、それが政策的には、折からの新自由主義経済への対応としてOECD/DeSeCoのコンピテンス概念を通じて21世紀の学習理論に発展したことを跡づける。さらに、これらが西欧思想上のロゴス(言語=論理)概念をもとにしていることを述べ、それが言語資料の操作概念を通じて学校図書館の言語力と探究力の二つの学習への対応戦略を導くものになったことについて述べる。
2019-05-31
「戦後教育学の出発と学校図書館の関係」
2018年5月12日(土)に早稲田大学にて開催された日本図書館情報学会春季研究集会での発表原稿です。
根本 彰「戦後教育学の出発と学校図書館の関係」
『日本図書館情報学会春季研究集会発表論文集』早稲田大学, 2018年5月12日, p.103-106.
抄録 学校図書館の中心機能である学習を支える機能について、戦後初期の新教育の考え方 にどのように位置づけられたのかを、当時の学校図書館構想における教育学的考え方 の検討と、新しい教育学の構想のなかで学校図書館についての言及がどの程度あった のかの検討を通じて明らかにした。政策的なものが作用するうちは、学校図書館と教育学は関わり合おうとしたが、作用が弱まると疎遠になったことが分かる。
根本 彰「戦後教育学の出発と学校図書館の関係」
『日本図書館情報学会春季研究集会発表論文集』早稲田大学, 2018年5月12日, p.103-106.
抄録 学校図書館の中心機能である学習を支える機能について、戦後初期の新教育の考え方 にどのように位置づけられたのかを、当時の学校図書館構想における教育学的考え方 の検討と、新しい教育学の構想のなかで学校図書館についての言及がどの程度あった のかの検討を通じて明らかにした。政策的なものが作用するうちは、学校図書館と教育学は関わり合おうとしたが、作用が弱まると疎遠になったことが分かる。
2019-05-14
『図書館の世界』(フランス語版)への寄稿(改訂)
フランスのEditions du Cercle de la Librairieから、Julien Roche編のUn monde de
bibliothèquesという本が出ました。これは世界の建物が美しい図書館を38館(ヨーロッパ22館,アメリカ8館,それ以外8館)を選んで写真と解説をつけたものです。このなかで、日本の国立国会図書館と金沢市立図書館について執筆しました。(日本語で書いたものが仏訳されています)
依頼(英語)があったときにKanazawa Libraryと書いてあったので、金沢文庫のことかと思い問い合わせたら、金沢市図書館とのこと。どうも、海みらい図書館がフランスでも知られているらしくそれを紹介したいということのようでした。本はまだ日本ではあまり紹介されていませんが、紀伊国屋書店のサイトには掲載されていました。
次は書店のページにあった本の表紙とそこにリンクされた広告コピーの日本語訳、そして目次です。コピーはGoogle Translationを使って下訳したものに手を入れました。45年前に学んだフランス語(平川祐弘に最初の文法を学び、2年目に蓮實重彦とプルーストを読んだが、すっかり錆びついていた)を思い出しながら、自由に意訳してあります。
なお、出版社のサイトには、編者 Julien ROCHEの序文と著者一覧も掲載されています。
<図書館は、ときに壮麗で感動的なイメージを喚起する場所であり、文化がハイパーコネクトされた、いわば魔術的なシンボル世界に位置づけられているために、そのことを扱った美麗本はたくさん出ています。しかし、それはこの本の意図するところではありません。この本は、断固として別のやり方をとります。過去、あるいは最近建てられた建物がもつ魅力的な力を余すことなく伝えるために、本書は、図書館が置かれた環境、その活動領域、そのコミュニティとそのネットワークとともにあることを含めて、多数の著名な図書館の全体像を提示します。それにより、図書館は単なる函であることを超えて、視覚に訴え、智に働き、影響力を行使する存在であることが理解できます。
未公表の写真を配置した40のオリジナルの解説に接することで、この本は大陸別に分けて読者を気ままな旅に誘います。大規模なものも小規模なものも、有名どころも知られていないものも、稀少なるものもまったく "普通"のものも、そして、豪華なものも質素なものも、公立、大学、国立、または専門の、およそ、世界中のすべてのカテゴリーの図書館がここに提示されています。かなり最近のものもあれば、何世紀も前のもの、あるいは何千年も前のものもあります。それらはすべておのおののユーザーに提供するサービスの質という点で典型となっているものです。そして、すべてが図書館の歴史、あるいは歴史そのものを語っているのです。>
“Sommaire
Introduction
Julien ROCHE
EUROPE
La bibliothèque de l’État de Basse-Saxe et de l’université de Göttingen (SUB), un laboratoire du savoir
Elmar MITTLER
Un joyau dans l’Université libre de Berlin, la Bibliothèque philologique
Petra HAUKE
La « Humboldt » de Berlin, de l’idéal humboldtien au Centre Jacob-et-Wilhelm-Grimm
Petra HAUKE
La bibliothèque de l’université Cottbus-Senftenberg, tiers-lieu, « non-lieu » et lieu à succès
Andreas DEGKWITZ
Le Library and Learning Centre de l’université d’économie et des affaires de Vienne, un joyau au cœur du campus
Andreas AMENDT et Marie-Pierre PAUSCH-ANTOINE
La Bibliothèque nationale du Bélarus, une histoire dans l’Histoire
Roman Stepanovič MOTUL’SKIJ
La Bibliothèque nationale et universitaire de Zagreb, marqueur de l’histoire de l’Europe centrale
Marija DALBELLO
La Bibliothèque royale du Danemark, un diamant danois
Steen BILLE LARSEN
La bibliothèque de l’université de Salamanque, une institution à travers l’Histoire
María ELVIRA Y SILLERAS
La bibliothèque de la Citadelle de l’université Pompeu Fabra de Barcelone, un joyau dans la ville
Lluís AGUSTÍ
La Bibliothèque universitaire centrale d’Helsinki, un outil remarquable au service de l’attractivité de l’université”
“Kaisa SINIKARA
Les bibliothèques de l’Université catholique du Sacré-Cœur, entre tradition et modernité
Mario GATTI et Ellis SADA
La nouvelle Bibliothèque nationale de Lettonie, montagne de verre et château de lumière
Andris VILKS
La bibliothèque de Vennesla, une architecture inspirée pour un projet ancré dans son territoire
Anne Kjersti BENTSEN
La bibliothèque publique d’Amsterdam, de l’inclusion et du vivre ensemble au service de la diversité
Zsófia BENE, Olindo CASO et Marian KOREN
La bibliothèque publique de Spijkenisse, une bibliothèque durable et ouverte sur la Cité
Zsófia BENE, Olindo CASO et Marian KOREN
La bibliothèque municipale d’Heerhugowaard, un poumon de vie culturelle, sociale et communautaire tourné vers la jeunesse
Zsófia BENE, Olindo CASO et Marian KOREN
Le centre culturel Rozet aux Pays-Bas, un exemple réussi de bibliothèque intégrée
Zsófia BENE, Olindo CASO et Marian KOREN
Le Saltire Centre de l’université calédonienne de Glasgow, un bâtiment et un concept pionniers
Les WATSON
La nouvelle Nouvelle Bibliothèque Bodleian, un lieu refondé au service de la recherche
Wolfram HORSTMANN
La British Library, une bibliothèque à vocation universelle
John TUCK
La Bibliothèque nationale de Russie, une institution culturelle clé de la Fédération
Andrei ANTONENKO
La bibliothèque abbatiale de Saint-Gall, une institution[...]”“ un patrimoine pour l’humanité
Ambrogio M. PIAZZONI
AMÉRIQUES
La bibliothèque George-Peabody, la vision d’un philanthrope moderne
Yvon-André LACROIX
La bibliothèque James B. Hunt Jr. de l’université d’État de Caroline du Nord, un équipement exceptionnel
Carolyn ARGENTATI et Chris TONELLI
La New York Public Library, une bibliothèque ouverte sur le monde
Marija DALBELLO
La Thomas Fisher Rare Book Library de l’université de Toronto, une collection exceptionnelle de livres rares et d’archives
Marcel LAJEUNESSE
La Grande Bibliothèque du Québec, une très belle réussite
Yvon-André LACROIX
La Taylor Family Digital Library de l’université de Calgary, un centre culturel et intellectuel
Guylaine BEAUDRY
La bibliothèque Palafoxiana, porte ouverte sur la culture de la Nouvelle-Espagne
Fabiola Patricia MONROY VALVERDE
La Vasconcelos, une bibliothèque vivante
Daniel GOLDIN
AFRIQUE, ASIE, OCÉANIE
La bibliothèque de l’université de technologie du Queensland, expérience étudiante, services aux chercheurs et innovation
Judy STOKKER et Sue HUTLEY
La Bibliothèque nationale de Chine, un outil emblématique du rayonnement chinois
Tommy YEUNG
La Bibliotheca Alexandrina, renaissance de la bibliothèque d’Alexandrie
Gérald GRUNBERG
La Bibliothèque nationale de la Diète, un rayonnement
Akira NEMOTO
Les bibliothèques municipales de Kanazawa, un réseau remarquable
Akira NEMOTO
La Bibliothèque nationale du Royaume du Maroc, un rayonnement international
Driss KHROUZ
La bibliothèque de l’université Saint-Thomas de Manille, mémoire de l’histoire des Philippines
Anabel de la PAZ
Une nouvelle Bibliothèque nationale pour le Qatar
Claudia LUX”
依頼(英語)があったときにKanazawa Libraryと書いてあったので、金沢文庫のことかと思い問い合わせたら、金沢市図書館とのこと。どうも、海みらい図書館がフランスでも知られているらしくそれを紹介したいということのようでした。本はまだ日本ではあまり紹介されていませんが、紀伊国屋書店のサイトには掲載されていました。
次は書店のページにあった本の表紙とそこにリンクされた広告コピーの日本語訳、そして目次です。コピーはGoogle Translationを使って下訳したものに手を入れました。45年前に学んだフランス語(平川祐弘に最初の文法を学び、2年目に蓮實重彦とプルーストを読んだが、すっかり錆びついていた)を思い出しながら、自由に意訳してあります。
なお、出版社のサイトには、編者 Julien ROCHEの序文と著者一覧も掲載されています。
<図書館は、ときに壮麗で感動的なイメージを喚起する場所であり、文化がハイパーコネクトされた、いわば魔術的なシンボル世界に位置づけられているために、そのことを扱った美麗本はたくさん出ています。しかし、それはこの本の意図するところではありません。この本は、断固として別のやり方をとります。過去、あるいは最近建てられた建物がもつ魅力的な力を余すことなく伝えるために、本書は、図書館が置かれた環境、その活動領域、そのコミュニティとそのネットワークとともにあることを含めて、多数の著名な図書館の全体像を提示します。それにより、図書館は単なる函であることを超えて、視覚に訴え、智に働き、影響力を行使する存在であることが理解できます。
未公表の写真を配置した40のオリジナルの解説に接することで、この本は大陸別に分けて読者を気ままな旅に誘います。大規模なものも小規模なものも、有名どころも知られていないものも、稀少なるものもまったく "普通"のものも、そして、豪華なものも質素なものも、公立、大学、国立、または専門の、およそ、世界中のすべてのカテゴリーの図書館がここに提示されています。かなり最近のものもあれば、何世紀も前のもの、あるいは何千年も前のものもあります。それらはすべておのおののユーザーに提供するサービスの質という点で典型となっているものです。そして、すべてが図書館の歴史、あるいは歴史そのものを語っているのです。>
“Sommaire
Introduction
Julien ROCHE
EUROPE
La bibliothèque de l’État de Basse-Saxe et de l’université de Göttingen (SUB), un laboratoire du savoir
Elmar MITTLER
Un joyau dans l’Université libre de Berlin, la Bibliothèque philologique
Petra HAUKE
La « Humboldt » de Berlin, de l’idéal humboldtien au Centre Jacob-et-Wilhelm-Grimm
Petra HAUKE
La bibliothèque de l’université Cottbus-Senftenberg, tiers-lieu, « non-lieu » et lieu à succès
Andreas DEGKWITZ
Le Library and Learning Centre de l’université d’économie et des affaires de Vienne, un joyau au cœur du campus
Andreas AMENDT et Marie-Pierre PAUSCH-ANTOINE
La Bibliothèque nationale du Bélarus, une histoire dans l’Histoire
Roman Stepanovič MOTUL’SKIJ
La Bibliothèque nationale et universitaire de Zagreb, marqueur de l’histoire de l’Europe centrale
Marija DALBELLO
La Bibliothèque royale du Danemark, un diamant danois
Steen BILLE LARSEN
La bibliothèque de l’université de Salamanque, une institution à travers l’Histoire
María ELVIRA Y SILLERAS
La bibliothèque de la Citadelle de l’université Pompeu Fabra de Barcelone, un joyau dans la ville
Lluís AGUSTÍ
La Bibliothèque universitaire centrale d’Helsinki, un outil remarquable au service de l’attractivité de l’université”
“Kaisa SINIKARA
Les bibliothèques de l’Université catholique du Sacré-Cœur, entre tradition et modernité
Mario GATTI et Ellis SADA
La nouvelle Bibliothèque nationale de Lettonie, montagne de verre et château de lumière
Andris VILKS
La bibliothèque de Vennesla, une architecture inspirée pour un projet ancré dans son territoire
Anne Kjersti BENTSEN
La bibliothèque publique d’Amsterdam, de l’inclusion et du vivre ensemble au service de la diversité
Zsófia BENE, Olindo CASO et Marian KOREN
La bibliothèque publique de Spijkenisse, une bibliothèque durable et ouverte sur la Cité
Zsófia BENE, Olindo CASO et Marian KOREN
La bibliothèque municipale d’Heerhugowaard, un poumon de vie culturelle, sociale et communautaire tourné vers la jeunesse
Zsófia BENE, Olindo CASO et Marian KOREN
Le centre culturel Rozet aux Pays-Bas, un exemple réussi de bibliothèque intégrée
Zsófia BENE, Olindo CASO et Marian KOREN
Le Saltire Centre de l’université calédonienne de Glasgow, un bâtiment et un concept pionniers
Les WATSON
La nouvelle Nouvelle Bibliothèque Bodleian, un lieu refondé au service de la recherche
Wolfram HORSTMANN
La British Library, une bibliothèque à vocation universelle
John TUCK
La Bibliothèque nationale de Russie, une institution culturelle clé de la Fédération
Andrei ANTONENKO
La bibliothèque abbatiale de Saint-Gall, une institution[...]”“ un patrimoine pour l’humanité
Ambrogio M. PIAZZONI
AMÉRIQUES
La bibliothèque George-Peabody, la vision d’un philanthrope moderne
Yvon-André LACROIX
La bibliothèque James B. Hunt Jr. de l’université d’État de Caroline du Nord, un équipement exceptionnel
Carolyn ARGENTATI et Chris TONELLI
La New York Public Library, une bibliothèque ouverte sur le monde
Marija DALBELLO
La Thomas Fisher Rare Book Library de l’université de Toronto, une collection exceptionnelle de livres rares et d’archives
Marcel LAJEUNESSE
La Grande Bibliothèque du Québec, une très belle réussite
Yvon-André LACROIX
La Taylor Family Digital Library de l’université de Calgary, un centre culturel et intellectuel
Guylaine BEAUDRY
La bibliothèque Palafoxiana, porte ouverte sur la culture de la Nouvelle-Espagne
Fabiola Patricia MONROY VALVERDE
La Vasconcelos, une bibliothèque vivante
Daniel GOLDIN
AFRIQUE, ASIE, OCÉANIE
La bibliothèque de l’université de technologie du Queensland, expérience étudiante, services aux chercheurs et innovation
Judy STOKKER et Sue HUTLEY
La Bibliothèque nationale de Chine, un outil emblématique du rayonnement chinois
Tommy YEUNG
La Bibliotheca Alexandrina, renaissance de la bibliothèque d’Alexandrie
Gérald GRUNBERG
La Bibliothèque nationale de la Diète, un rayonnement
Akira NEMOTO
Les bibliothèques municipales de Kanazawa, un réseau remarquable
Akira NEMOTO
La Bibliothèque nationale du Royaume du Maroc, un rayonnement international
Driss KHROUZ
La bibliothèque de l’université Saint-Thomas de Manille, mémoire de l’histoire des Philippines
Anabel de la PAZ
Une nouvelle Bibliothèque nationale pour le Qatar
Claudia LUX”
2019-05-13
『教育改革のための学校図書館』(東大出版会)の刊行予告
6月25日に、表記の本を刊行予定です。
この本は、私が携わってきた領域のなかで、学校図書館にかかわるものを集大成したものです。 とくに今の教育改革と戦後の学校図書館の制度と位置づけがねじれた関係にあったことを整理し、このねじれを解くため提言をしています。
たとえば、1953年の学校図書館法ができるときに、実は文部省でも当時の経験主義教育を支援するために学校図書館制度をつくる動きがあり、専任司書教諭の配置までを視野に入れていました。東京学芸大学の附属学校ではそのために「図書館教育」のモデルカリキュラムの実験をしていました。これがなぜ「教諭をもって充てる」かたちのでの司書教諭が制度化されてしまったのか。当時の教育学者はこの動きに対してどのような反応を示していたのか。第Ⅰ部ではこの問題を取り上げます。このなかでは第3章は書き下ろしです。学校教育学のなかでもとくに教育課程論や教育方法学と学校図書館の関係がねじれたままになったのがなぜだったのかについて、考察しています。
第II部はその後の教育改革のなかで学校図書館問題がどのように位置づけられたのかについて、さまざまな角度から論じています。第6章では、ここ20年ほどで行った実証的な調査についてのまとめを掲載しました。
第III部では、外国の事例について述べました。アメリカについては書かれたものがけっこうありますが、ここではとくにフランスを取り挙げます。実はアメリカもフランスも20世紀の百年をかけて教育改革をつづけていますが、そのなかでアメリカでは20世紀なかばに、フランスでは20世紀末に、学校図書館の制度化と専門的な図書館員の配置の制度化を進めました。私は教育改革は100年単位で考えるべき問題と思いますから、この二つの国が若干の時差をもちながらその選択をした理由がなんなのか、日本ではその条件が整っているのかという問題意識から取り組みました。
第IV部は、まとめですが、第9章ではLIPER(図書館情報学専門職養成のリニューアル)学校図書館班で取り組んだ政策的課題をまとめています。そして最終章もまた書き下ろしでここまでの議論を整理し、若干の政策提言も含めて論じました。
全体でA5判で340ページにもなりました。それだけ複雑で困難な問題が横たわっていたからです。ここで述べた図書館と教育の関係の議論は、『情報リテラシーのための図書館』(みすず書房, 2017)に続くものです。価格もずいぶん高くなりましたがm(_ _)m、この領域では今までになかった総合的な考察をした書物であると自負しています。
<目次>
序
第I部 戦後の出発点の確認
第1章 戦後学校図書館制度成立期研究の現状
第2章 占領期における教育改革と学校図書館職員問題
第3章 戦後教育学の出発と学校図書館の関係
第1章 戦後学校図書館制度成立期研究の現状
第2章 占領期における教育改革と学校図書館職員問題
第3章 戦後教育学の出発と学校図書館の関係
第II部 教育改革と学校図書館
第4章 学校図書館における「人」の問題
第5章 教育改革と学校図書館の関係を考える
第6章 教育改革と学校図書館制度確立のための調査報告
第4章 学校図書館における「人」の問題
第5章 教育改革と学校図書館の関係を考える
第6章 教育改革と学校図書館制度確立のための調査報告
第III部 外国の学校図書館と専門職員制度
第7章 フランス教育における学校図書館CDI
第8章 米国ハワイ州の図書館サービスと専門職養成システム
第7章 フランス教育における学校図書館CDI
第8章 米国ハワイ州の図書館サービスと専門職養成システム
第IV部 日本の政策的課題
第9章 学校内情報メディア専門職の可能性
第10章 日本の教育改革の課題と学校図書館の可能性
第9章 学校内情報メディア専門職の可能性
第10章 日本の教育改革の課題と学校図書館の可能性
あとがき
なお、今後、3回にわたって日本図書館情報学会で発表した学校図書館と教育改革の課題についての論文をブログにアップする予定です。
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7月9日追記
・7月1日に販売が始まりました。
・本書の序、1章1節、10章4節を読めるように公開しました。
https://oda-senin.blogspot.com/2019/07/blog-post.html
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7月27日追記
公開シンポジウム「教育改革のための学校図書館」の開催予告を行いました。
https://oda-senin.blogspot.com/2019/07/blog-post_27.html
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7月9日追記
・7月1日に販売が始まりました。
・本書の序、1章1節、10章4節を読めるように公開しました。
https://oda-senin.blogspot.com/2019/07/blog-post.html
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7月27日追記
公開シンポジウム「教育改革のための学校図書館」の開催予告を行いました。
https://oda-senin.blogspot.com/2019/07/blog-post_27.html
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2020年12月24日追記
この本をもとにした研究業績により2020年2月に慶應義塾大学より博士(図書館・情報学)が授与されました。その経緯や論文要旨、要約、審査要旨および審査に対する応答をブログにアップしました。
2019-04-20
つくば市旧小田小学校(一部教室)の地域活用を考える会
3月30日と4月19日に開催された標記の会に参加した。これは「小田市街地まちづくり勉強会」の一環として、つくば市都市計画課周辺市街地振興室の呼びかけで開催されたものである。
つくば市南部が東京への電車でのアクセスがいいので人口がどんどん増えているのに比べて、北部は少子高齢化が進む典型的な過疎地域である。そうしたところに住むことを決めたのには理由があるが、その一つには、マージナルなところは層化された歴史の断面が見えやすいという直感による。昨年6月に、北部の公立小中11校が廃校になって統合され、その廃校跡地をどのように使うのかについての説明会があったことはブログに書いた。最近になって新しい動きがあったのでここで報告しておく。
それは都市計画課が後押しして、小田小学校の2教室と運動場を地域の人たちが活用するための団体と事業計画をつくるための準備ということである。すでに、国と市からそのための修繕費が支出されることが決定していて、また、これを進めるための専門のコンサルタント会社を公募することもまもなく始まるということである。これだけのことをして、これを進めようというのは小田地区がいくつかの要素でこういう事業をモデル的に進めるのによい条件が揃っているという判断があったようである。それはたぶん、他の地区(周辺市街活性化の対象地区は全部で市内に8地区ある)に比べて、中世以来の歴史文化があり地理的にまとまっていて独立性が高いこと、小田城趾公園や宝篋山登山などで外部からの訪問客を受け入れている現状があることなどによるものと思われる。
2回の会では職員によるこの事業の趣旨説明があった。要するに、これは最初の1年間は市が面倒をみて小学校の一部を利用した地域再開発の手伝いをするが、あとは地域住民で自由に展開してほしいという仕掛けであることが理解できた。つまり、他の地区にさきがけて廃校利用のモデルケースとなることを期待しているということだ。
提案されている学校施設の利用用途について大まかには二つあり、一つは地域住民のコミュニティ活動の拠点にすることとであり、二つ目には宝篋山の登山客やサイクリングロードを走るサイクリストを引きつける施設として利用することである。話し合いでは、これらの提案にとくに異存はなかったし、それを引き受ける住民協議会に参加したいという人もけっこういた。ただし具体的に何をするのかということになると、いろんな意見があり、その受け皿として汎用的なものをどのようにつくっていくかが議論の中心だった。
たとえば、修繕の一環で簡易シャワーが使える設備をつくるかどうかは、目的にかかわる。そもそも今のところサイクリストはそんなに多くないし、ロードの途中でシャワーを浴びる人はいないだろう。登山道の拠点である駐車場から小学校まではちょっと距離があってわかりにくく、シャワーを使う人がどれだけあるか不明である。車で10分でウェルネスパークという温水施設があるからそこにいけばよい。というように、需要が不明なのに費用がかかり維持するのもたいへんそうな設備をつくるのがいいのかどうか。といった具合である。だからおおざっぱな方針をつくって、あとは地域の意見を集約できる準備会をつくり、さらには運営協議会を発足させるという方針でまとまった。
前にも書いたように、ここには地元のことについては熱く語る人たちがいる。また若い人や女性の参加者もけっこういていろんな意見を出していた。小田の街はふだんはあまり人通りもないが、祭りやイベントのときは盛り上がることを経験してきた。今は小田城跡公園が集まる場所になっている。小学校は地域の拠点の一つであるから、これがなくなったことで、再開発をきっかけとして小学校と小田城趾をうまくつなげるといいと思う。今はあいだに保育所と児童館が入っているが、かなり老朽化しているということなので、いずれは小学校の方に移転することを考えるべきだろう。歴史的保存地区に指定されているので新しい建物は建てられないから、そうなるとすっきりと両方がつながることになる。
そうなると、このブログを開設した2年前に書いた「緑と城の小田郷学」プロジェクト案の一部は実現することになるだろう。 念のためにここに再度書き出しておく。
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なお、この案をある人に見てもらったときに、小田小学校は車でのアクセスに非常に制限があって問題だという話しをされた。今回の話し合いでも、車道の拡張についてまっさきに市が取り組むべきではないかという意見があった。それに対して、市の担当者は今回の趣旨は市役所が後押しして、地域活性化を住民自らが取り組むための手伝いをすることであり、それがうまくいって実績が上がったら自ずとそうした環境整備のようなものに市が取り組むことがあるだろうということだった。確かに、小田小学校が明治の初期にできてから140年目にして廃校になり、新しい状況が生まれたわけだから、あまり焦らずにじっくりと地域づくりに取り組めばよいと考える。
つくば市南部が東京への電車でのアクセスがいいので人口がどんどん増えているのに比べて、北部は少子高齢化が進む典型的な過疎地域である。そうしたところに住むことを決めたのには理由があるが、その一つには、マージナルなところは層化された歴史の断面が見えやすいという直感による。昨年6月に、北部の公立小中11校が廃校になって統合され、その廃校跡地をどのように使うのかについての説明会があったことはブログに書いた。最近になって新しい動きがあったのでここで報告しておく。
それは都市計画課が後押しして、小田小学校の2教室と運動場を地域の人たちが活用するための団体と事業計画をつくるための準備ということである。すでに、国と市からそのための修繕費が支出されることが決定していて、また、これを進めるための専門のコンサルタント会社を公募することもまもなく始まるということである。これだけのことをして、これを進めようというのは小田地区がいくつかの要素でこういう事業をモデル的に進めるのによい条件が揃っているという判断があったようである。それはたぶん、他の地区(周辺市街活性化の対象地区は全部で市内に8地区ある)に比べて、中世以来の歴史文化があり地理的にまとまっていて独立性が高いこと、小田城趾公園や宝篋山登山などで外部からの訪問客を受け入れている現状があることなどによるものと思われる。
2回の会では職員によるこの事業の趣旨説明があった。要するに、これは最初の1年間は市が面倒をみて小学校の一部を利用した地域再開発の手伝いをするが、あとは地域住民で自由に展開してほしいという仕掛けであることが理解できた。つまり、他の地区にさきがけて廃校利用のモデルケースとなることを期待しているということだ。
提案されている学校施設の利用用途について大まかには二つあり、一つは地域住民のコミュニティ活動の拠点にすることとであり、二つ目には宝篋山の登山客やサイクリングロードを走るサイクリストを引きつける施設として利用することである。話し合いでは、これらの提案にとくに異存はなかったし、それを引き受ける住民協議会に参加したいという人もけっこういた。ただし具体的に何をするのかということになると、いろんな意見があり、その受け皿として汎用的なものをどのようにつくっていくかが議論の中心だった。
たとえば、修繕の一環で簡易シャワーが使える設備をつくるかどうかは、目的にかかわる。そもそも今のところサイクリストはそんなに多くないし、ロードの途中でシャワーを浴びる人はいないだろう。登山道の拠点である駐車場から小学校まではちょっと距離があってわかりにくく、シャワーを使う人がどれだけあるか不明である。車で10分でウェルネスパークという温水施設があるからそこにいけばよい。というように、需要が不明なのに費用がかかり維持するのもたいへんそうな設備をつくるのがいいのかどうか。といった具合である。だからおおざっぱな方針をつくって、あとは地域の意見を集約できる準備会をつくり、さらには運営協議会を発足させるという方針でまとまった。
前にも書いたように、ここには地元のことについては熱く語る人たちがいる。また若い人や女性の参加者もけっこういていろんな意見を出していた。小田の街はふだんはあまり人通りもないが、祭りやイベントのときは盛り上がることを経験してきた。今は小田城跡公園が集まる場所になっている。小学校は地域の拠点の一つであるから、これがなくなったことで、再開発をきっかけとして小学校と小田城趾をうまくつなげるといいと思う。今はあいだに保育所と児童館が入っているが、かなり老朽化しているということなので、いずれは小学校の方に移転することを考えるべきだろう。歴史的保存地区に指定されているので新しい建物は建てられないから、そうなるとすっきりと両方がつながることになる。
そうなると、このブログを開設した2年前に書いた「緑と城の小田郷学」プロジェクト案の一部は実現することになるだろう。 念のためにここに再度書き出しておく。
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2017年4月23日
「緑と城の小田郷学」プロジェクト案
以下は、小田に住み始めて数年、小田に定着し、何か貢献できないかと思ったときにやるべきことについて個人的にまとめたものです。
・ 長島尉信(江戸末期の小田在住の農政学者)に/を学ぶ
この人が小田で何をしていたのか
とりあえず、小田城趾公園案内所を借りての勉強会
・ 小田小学校廃校対策
小田小校舎と保育所・児童館を統合する。
城跡の公園とを結ぶ子どもから大人の学びの場をつくる
(体育館の利用・小ホールをつくる。ライブラリーによる広場機能)
紫峰学園筑波義務教育学校にとっての地域学習の拠点の一つとする
・ 小田城公園との連動
この人が小田で何をしていたのか
とりあえず、小田城趾公園案内所を借りての勉強会
・ 小田小学校廃校対策
小田小校舎と保育所・児童館を統合する。
城跡の公園とを結ぶ子どもから大人の学びの場をつくる
(体育館の利用・小ホールをつくる。ライブラリーによる広場機能)
紫峰学園筑波義務教育学校にとっての地域学習の拠点の一つとする
・ 小田城公園との連動
小田保育所=小田小学校跡地との一体的開発
公園案内所のミュージアム化(小田城の歴史と小田地区の歴史(長島家文書))
農と食との連動(筑波農場、武平ファームとの協働)による休憩施設
りんりんロードの拠点休憩所づくり(土浦、霞ヶ浦、北条、筑波山麓との連携)
つくバス小田シャトルの連絡の向上
(つくば駅からりんりんロードにつながる自転車道の整備)
・ 小田地区との連関
宝篋山への登山道入り口 (小田休憩所との連携)
小田祭り・どんど焼き等の祭り
文化財(小田不動磨崖仏、小田前山、極楽寺跡と忍性)
古民家華の幹、カフェ梟と駐車場との協働
(前山下の採掘跡地の再利用によるコンサートスペース)
*小学校と保育所との統合、自転車道整備、コンサートスペースはやや夢物語に近いか
公園案内所のミュージアム化(小田城の歴史と小田地区の歴史(長島家文書))
農と食との連動(筑波農場、武平ファームとの協働)による休憩施設
りんりんロードの拠点休憩所づくり(土浦、霞ヶ浦、北条、筑波山麓との連携)
つくバス小田シャトルの連絡の向上
(つくば駅からりんりんロードにつながる自転車道の整備)
・ 小田地区との連関
宝篋山への登山道入り口 (小田休憩所との連携)
小田祭り・どんど焼き等の祭り
文化財(小田不動磨崖仏、小田前山、極楽寺跡と忍性)
古民家華の幹、カフェ梟と駐車場との協働
(前山下の採掘跡地の再利用によるコンサートスペース)
*小学校と保育所との統合、自転車道整備、コンサートスペースはやや夢物語に近いか
テーマ:自然と農、伝統と文化
「小田」を素材にした人々の交流の場・学びの場・遊びの場にする
郷学の復活(江戸時代の庶民の私塾、小田小学校の前身は郷学だったのでは?)
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なお、この案をある人に見てもらったときに、小田小学校は車でのアクセスに非常に制限があって問題だという話しをされた。今回の話し合いでも、車道の拡張についてまっさきに市が取り組むべきではないかという意見があった。それに対して、市の担当者は今回の趣旨は市役所が後押しして、地域活性化を住民自らが取り組むための手伝いをすることであり、それがうまくいって実績が上がったら自ずとそうした環境整備のようなものに市が取り組むことがあるだろうということだった。確かに、小田小学校が明治の初期にできてから140年目にして廃校になり、新しい状況が生まれたわけだから、あまり焦らずにじっくりと地域づくりに取り組めばよいと考える。
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