18日午後6時から、つくば市内の豊里交流センターで「上郷高校跡地に関する経過報告会」というのが開催されたので行ってみた。県立上郷高校は2011年に廃校になり、その後、県の跡地・施設を市が買い取ったということである。その跡地利用の検討が進んでいるというので聞きに行ったのだ。主催は、市の企画・国際課「大規模未利用地活用推進室」である。
こういう部局がつくば市にあることを行ってみて初めて知った。つくば市は6町村の合併によってできた市で、旧庁舎はしばらくは支所等として使われていたが、今はその機能がはずされて市役所に集中化されている。支所はどこも再利用をどうするかが課題だ。それに加えて、この上郷高校もそうだし、下に話題にしているように旧筑波町にあった小規模な小中学校(9校もあるそうだ!)は統合されてその跡地利用が問題になっている。これに市として対応するための部局のようだ。
室長の説明によると、跡地利用については昨年秋に検討会が開かれ、提言書が出されていた。そこでは、まちづくりを進めるために公的資金を使うより民間資金を誘導する視点を強く打ち出したものになっている。そして、民間からの提案を広く公募する方法でいくつかの提案が出され、現在はそれを検討中ということである。応募したのは、外国人を受け入れる料理学校とか農業研修学校、短期大学といったところのほか、社会人野球チームによる運動場の利用、あるいは、フィットネスクラブによる運動場や体育館の利用という提案もあったという。
印象としては、市としては誠実に対応しようとしているとは思うが、期待したほどの有力な提案がなかったと受け止めているようだ。かなりの広さがあり、運動場や体育館などは使えそうな敷地だが、市街化調整区域で建物の制限があることと、施設や設備の老朽化でこれを整備するにはかなりの資金が必要になるので、それほど民間事業者には魅力がないということなのかもしれない。ただ、会場からの意見として広報が不足しているとの声もあったように、十分に周知されているのかどうかはわからない。
多数の未利用跡地があるつくば市全体の再利用のビジョンがどうなっているのかを質問したら、筑波地区の学校跡地利用については今年度の当初予算でコンサルタント会社への委託事業が行われるという話しがあった。そのなかでは、民間への働きかけと市の公共事業をバランスをとりながらやるということである。これも初めて聞く話しであり、ここに書いて情報を共有したい。
終わってから、担当者には、多数の遊休の公共施設跡地が出ているつくばが本格的に取り組もうとしているのは分かるが、拙速にやらないでほしいという希望を伝えた。学校はその地域の知的文化的財産だったはずだが、それが廃校になることが地域にどのくらい深刻な影響を与えるのかを考えたら、あわてて民間事業者を選ぶことがいいこととは思えない。
ともかく私の「緑と城の小田郷学プロジェクト」を進めるための手がかりが少し見え始めたと感じた次第である。
2017-05-19
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