2018-01-14

新土浦市立図書館に行ってみる

昨年12月に開館したのは知っていたがまだ訪れていなかった新土浦市立図書館に行ってみた。アルカス土浦という名前の複合ビルの中心的施設で、土浦駅前の空洞化現象に対する活性化策としてつくられた。

最近のこうした事例では指定管理制度を採用する自治体も増えているのだが、ここはそうせずに、直営の図書館として開館した。そのあたりの覚悟のほどと、どの程度のできばえかを確認しに行ったのだ。

結論から言うと、けっこういいのかもというところだ。日曜日の午前中であったが、すでにかなりの利用者が来ていた。家族連れも多い。車で行ったのだが、駐車場が同じビルにあって2時間までは無料で駐車できる。駐車券のチェックしてもらう際に前にいた家族連れが2時間でなくもっと長くしてほしい、2時間なんてあっという間に過ぎてしまうからと職員に話していた。駅ビルの駐車場の台数はそれほどなく、あとはちょっと歩くことになるが駅の東西の市営駐車場に入れればもっと長く停められるらしい。

施設は5200㎡あるということで、3層の館内も吹き抜けをつくってゆったりした感じとなっていた。入った階(2階)が雑誌と児童コーナー、その上がメインの書架と閲覧席があるところであり、一番上の階はロフトと呼ばれる自由に使えるスペースと自習室がある。こういう施設が、ある程度自習に対応せざるをえないことは確かで、予約制の自習スペースもかなりとってあった。

この図書館の特徴はあくまでも図書館の基本に徹することだと理解した。要するに資料提供機能である。資料の最大収容冊数は全自動書庫も含めて56万冊という。この図書館は歴史があって資料の蓄積がある。とくに4階のメインのフロアにはこの図書館の基本資料20万冊近くが並んでいるし、雑誌のタイトル数もかなり多い。地域資料のコーナーをじっくり見たが、歴史的な資料を中心に、以前だったら書架にしまわれていたものが開架で自由に手に取れるようになっている。600席ある座席数も魅力の一つだ。

全体に新しい本が多いので、自分の関心がある書架を見るのが楽しい。この規模の図書館の書架をざっとながめると、何か新しい発見があるのはうれしいものだ。今日もみているうちに、これは使えるというアイディアが浮かんできて、メモをとった。

資料提供は単に資料を並べて利用できるというだけでは完結しない。その中身とそれをどのように見せるのかが重要だ。ちょうど、児童コーナーにあるミニシアターで子どものための読み聞かせや紙芝居、お話し会が開かれようとしていた。けっこう親子づれが入っていて待っていた。

実は先日、10年ぶりくらいにつくば市立中央図書館に行った。いつも近くのつくば駅に出入りしているのに、わざわざ図書館に行きたいという気にはならない。しかし今度できた土浦市立ならまた行ってみたいと思う。なぜかというと、空間の広さと資料の多さにほかならない。たぶん土浦はつくばの2倍以上の広さと資料数があるだろう。もちろん筑波大学中央図書館と比べたら少ないのだが、そもそも大学図書館と公共図書館のコレクションはカバー範囲が違うし、それ以上に、大きすぎる蔵書は一望することができない。知の遠近法が働くためのちょうどいい大きさがあるのだろう。その意味で、ここは知的好奇心を掻き立てるものがある。それが継続的に更新されながら維持されることが必要だ。

新土浦市立図書館の館長は公募で選考されて着任した人で、もともとは大手広告会社に勤めていたという。今の図書館はどこも居心地の良さをもたらす環境づくりを重視している。ここもその意味で空間作りと対人サービスを重視しているのだろう。今のところ、基本的なサービス体制は提供されていると思う。今後は、これをベースにいかに展開して、単に市民の憩いの場にとどまらない、直営図書館ならではのサービスができるかだろう。展示企画、講演会、地域資料、デジタルアーカイブ等のこの地域特有のものをうまく表現できるといい。また、市民の課題解決支援サービスも次のテーマになる。

土浦駅とペデストリアンデッキでつながれけっこう人の行き来があるように見えた。今のうちは、物珍しさと使い勝手の良さで来館してくれる。しかし、地方都市でここにわざわざ来たいと思わせる要因が何なのかを見きわめる必要があるだろう。


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