最近、土浦市の施設に行くことが増えている。昔、子どもたちが小さかったときには亀城公園プラザのホールで楽器の演奏会が毎年あってそこに通うことが多かったが、その後は土浦にまで脚を伸ばすことはなくっていた。小田に移り住むようになってあらためて土浦との縁が出てきた。というのは、つくば市小田地区は江戸時代は土浦藩小田村だったところであり、また、現在は国道125号線で小田と土浦は結ばれているからだ。さらには、昔、筑波鉄道筑波線という気動車が土浦と岩瀬駅を結んで走っていて、その途中に常陸小田という駅もあった。今は、小田城の史跡公園になっている。
鉄道は1980年代末に廃線となり軌道は撤去されたが、その跡はサイクリングロードとなっていて、快適なサイクリングが楽しめる。今は霞ヶ浦から筑波山までまっすぐに続いているので、何も考えないで自転車を走らせるのにいい。家からこのロードで自転車を走らせて30分ほど行って125号線に入るとまもなくJA新治が見えてくる。ここはJAの直売所で野菜類を安く買うことができる。
新治という地名は、日本書紀に、日本武尊が蝦夷を制定して「新治(にいばり) 筑波を過ぎて 幾夜か寝つる」と詠み、それに家来が答えて「かがなべて 夜には九夜 日には十日」と唱和したというのが出てくる。今は分からないが、私が高校の頃はこの一節が国語の教科書に出ていたから今でも覚えている。これは甲府で読んだ連歌とされるものであるが、この歌に出てくる新治の地がここである。この地は蝦夷征伐の最前線だったのだ。その新治は周りの町村が土浦市に統合されても新治村であり続けたのだが、 平成の大合併で土浦との合併を余儀なくされたようだ。
JA新治からちょっと東に入ったところに、土浦市の新治コミュニティセンターの建物がある。前からJAにはときどき行っていたので建物は目についていたが、なかに入ったことはなかったのだが、先日入ってみた。コミュニティセンターってなんだろうと素朴な疑問が沸いたからである。そこはけっこうしっかりとした公共施設で、なか
には公民館を中心として図書館もあった。しかしこれが、公民館とも図書館とも表示がないので中に入らないとわからないのである。JAに来る人は多いのに、
あそこの存在に気づいている人はそんなに多くないのではないか。なんだかもったいないと感じた。
中は必要最小限の公共図書館の機能と公民館の機能が存在していた。ときどきここに行くものとしてはありがたい。また、土浦市は他市の市民にも貸出しをしてくれるのもありがたい。しかし、地元の人達のニーズにどの程度、見合ったものになっているのかはまだよくわからない。だが、想像するに地元の住民が直接、要求したというよりは、おそらくは合併の「褒美」がこのコミュニティセンターなのだろう。合併特例債でつくったことはここの職員の方に聞いて確認した。
こういう施設こそは地域住民の文化的な発展のために利用すべきではないのか。地元で地域的アイデンティティを主張する動きがあるのかどうかはよくはわからない。たとえば、合併関係の行政資料をきちんと後世に残すための拠点として機能すべきではないのか。とくに、公民館との併設であるから、双方のノウハウを駆使して、そうした当地にとって不可欠な資料(今のはやりの用語で言えばオーセンティックな資料)とそれに関わる解説や展示などのサービスがあってしかるべきではないだろうか。
土浦市図書館では郷土資料を重視しているのはありがたい。だが、これまで、地域資料や郷土資料というと、市の中心館が担うという考えが強かったが、ここのように合併して編入された地域では、また独自の地域資料サービスがあってよいと感じる。
2018-06-05
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